○TNM分類
1980年にWHOが呈した飼育動物の腫瘍における分類基準で、がん=悪性腫瘍に
おける進行度の評価をするための分類で、治療計画を立てるために用いる指標である
@T(Tumor):原発腫瘍の広がり(大きさや個数など)
AN(Nodes):領域リンパ節の状態(腫れや硬さなど)
BM(Meta) :遠隔転移の有無(領域リンパ節以外のリンパ節や他の臓器)
*大まかに流れでは、悪性腫瘍(T)が発生し成長すると、まず最初に付属領域の
リンパ節(N)に浸潤がおきてから、遠隔転移(M)が起きる
○付属領域リンパ節
各臓器には付属のリンパ節があり、感染や腫瘍の浸潤など、何らかの反応により
腫大したり硬化したりする
体表のリンパ節(下顎リンパ節、浅頚リンパ節、腋かリンパ節、鼠径リンパ節など)
胸腔のリンパ節(前縦隔リンパ節、胸骨リンパ節、肺門リンパ節など)
腹腔のリンパ節(肝リンパ節、脾リンパ節、腸間膜リンパ節、腸骨リンパ節など)
○分裂の盛んな細胞 ⇒ 感受性の高い細胞(抗がん剤や放射線療法に反応しやすい)
将来行う細胞分裂の回数が多い細胞:精巣や卵巣など
現在活発な細胞分裂をしている細胞:皮膚や胃腸の粘膜上皮、骨髄など
○未分化細胞と高分化細胞
未分化:まだ分裂していないので、これから分裂が盛んな細胞 ⇒ 悪性度高い
高分化:すでに分裂しているので、もう分裂しずらい細胞 ⇒ 悪性度低い
〇血液検査(CBC検査・生化学検査など)
CBC検査 :血液の細胞成分である赤血球・白血球・血小板を調べる事により異常を検出する検査
赤血球系の検査で貧血(溶血、出血、造血など)のチェック
白血球系の検査で感染(急性、慢性)や炎症などのチェック
異常な血球がある場合は、血球の主な生産部位である骨髄を穿刺し調べる事により、
より正確な状況を把握する事が出来る
生化学検査:血液中の成分を調べる事により、色々な臓器に異常があるかを間接的に調べる検査
肝機能(ALT=GPT、AST=AST、ALP、T−Bill、ALBなど)
腎機能(BUN、CRE、ALB、Ca、IPなど)
膵機能(Glu、AMYL、LIPなど)
内分泌機能(副腎皮質、甲状腺、上皮小体、性腺など)
〇X線検査(レントゲン検査)、超音波検査
X線検査 :各臓器の位置や大きさを把握し、異常があるかどうかをチェック
X線上では、堅いものほど白く写り(骨>心臓・肝臓などの臓器)
気管・や肺など空気を含む臓器は黒く写る
超音波検査:各臓器の大きさや内部の構造に異常があるかどうかチェック
肝臓、脾臓など組織の間に血液が富む臓器は白っぽく映り、
心臓や膀胱などは、心房室や膀胱壁は周囲が白く、中の血液や尿は黒く映る
超音波上では骨や気管・肺は映らない
頭蓋内・脊髄の腫瘍や体腔の腫瘍では、、X線CTやMRI検査の方が情報を多く得る事が出来る
〇病理組織検査
採取した組織内の腫瘍細胞における悪性度や、転移の可能性などを把握するための顕微鏡検査
標本固定し染色液で染める事により、血管やリンパ管などの脈管内への浸潤を調べる事ができる
最終的に病理検査において、腫瘍の診断名を付けられることが多い
〇QOL(Quality Of Lifeの略)
直訳すると『生命の質』、今までと同じように生活を送ることが出来るかどうか?
病気によるストレスや苦痛がなく、もしくは最小限に抑えることで、どれだけ質の良い
生活がおくれるかどうかを考えた言葉で、現在の腫瘍の治療に関しては、このQOLの
維持・向上を考えずに治療する事は出来ない。
ただ根治目的の治療の中には、拡大切除や断脚術など、QOLの低下が避けられない
治療もあるのでより飼い主とのインフォームドコンセントによる意思疎通が必要である
〇尿検査(試験紙検査、尿沈渣検査など)
試験紙検査:試験紙を使い尿の性状(pH、尿糖、蛋白、色素、ケトン体、潜血など)をチェック
尿沈渣検査:尿沈渣を顕微鏡で観察することで、細胞成分などをチェック